コーヒーを趣味にしたいと思ったとき、まず迷いやすいのが「どの道具をそろえればいいのか」「何から始めればいいのか」というポイントではないでしょうか。
ハンドドリップ・エスプレッソ・コールドブリューなど、淹れ方はさまざまです。選択肢が多いからこそ、最初の一歩で戸惑ってしまいがちです。
そこで本記事では、最も始めやすい「ハンドドリップ」に絞って、以下をわかりやすく整理してお伝えします。
- 最初に揃えるべき道具
- 必要な費用の目安
- 失敗しない豆選び
- 初心者でも安定して美味しく淹れられる手順
「何を買えばいい?」「どう挽けばいい?」「どう注げば美味しくなる?」そんなよくある疑問も、この記事でまるごと解消できます。
| 難易度 | 評価 (★5=優れている/★1=ハードル高め) |
|---|---|
| はじめやすさ | |
| 初期費用 | |
| 続けやすさ |
ハンドドリップに必要な道具と費用

ハンドドリップを始めるにあたって、まず押さえておきたいのが必要な道具と初期費用の目安です。本記事では扱いやすい1杯分を基準に、そろえるべき道具を紹介していきます。
【必須アイテム】
ハンドドリップを始めるなら、まずこの4つがあれば十分です。この先で紹介しますが、セットで販売されているものもあります。
| 画像 | 道具 | 説明 |
|---|---|---|
![]() | コーヒーミル (またはグラインダー) | 豆を挽く道具 デザインと豆が入る容量(ホッパー)で選ぶ |
![]() | ペーパーフィルター | 抽出時の濾過に使用 1〜2杯用を選ぶ |
![]() | ドリッパー | 抽出する器具 ペーパーフィルターのサイズに合わせる |
![]() | コーヒー豆 | 豆の状態(挽かれてないもの) 初めてなら中煎り・ブレンドを選ぶ |
【必須だが自宅にあればOK】
持っていなければ購入しましょう。
| 道具 | 役割 |
|---|---|
| キッチンスケール(デジタル推奨) | 豆、抽出時の重量をはかる |
| ケトル(やかん・鍋でも可) | お湯を沸かす |
【あると便利なアイテム】
必要性を感じてからでOK。最初から全部そろえる必要はありません。
初期費用の目安
ハンドドリップに必要な道具をすべて揃えた場合、初期費用は15,000円前後が目安です。ここでは、入手しやすく品質も安定しているカリタ製品を例に、1〜2杯分の基本セットを試算しています。なお、メーカーによってはスターターセットもあります。
- 道具類
-
多くのメーカーがありますが、中でも「カリタ、ハリオ、メリタ」はラインナップが豊富で、初心者でも選びやすいブランドです。それぞれデザインや機能性に特徴が異なるため、可能であれば実物を手に取り、サイズ感や操作性を確認してから購入すると失敗がありません。また、同じメーカーでドリッパー・フィルターを揃えると互換性の面で安心です。
- コーヒー豆
-
コーヒー豆の価格帯は幅があり、スーパー < チェーン店(スタバ等) < 専門店・自家焙煎店の順で一般的に高くなる傾向があります。
次に、コーヒーの味を大きく左右するミル・フィルター・ドリッパーの選び方 を整理します。どれも種類が多く迷いやすい部分ですが、要点を押さえれば初心者でも確実に選べます。
道具の選び方

必須アイテムである ミル・ドリッパー・フィルター の選び方のポイントを整理します。メーカーを揃えると間違いありませんが、好みで選んでも問題ありません。サイズはさまざまありますが、最初は 1〜2杯用 を選ぶと扱いやすく、失敗しにくいです。
ミルの選び方
自分の手になじむ一台があると、淹れる時間そのものがより心地よくなり、続ける楽しさも広がります。そのため、ミルは最もこだわって選びたいアイテムと言えるでしょう。
選ぶポイント
- 1回に挽ける量(ホッパー容量)
- デザインの好み
- 握りやすいか(挽く時の固定)
- フタの有無(豆の飛び出し防止、埃除け)
- 掃除のしやすさ(多少の手間は割り切る)
迷ったらこれ
手挽きミルは水洗い不可のものが多く、基本はブラシを使ってお手入れします。木製パーツは使い続けるうちに豆の油分がゆっくりと馴染み、それ自体が風合いとして味わい深くなっていきます。
フィルター
フィルターの種類によって味わいは変わりますが、最初の段階では深く意識する必要はありません。まずは扱いやすい一般的なペーパーフィルターを選びましょう。慣れてきたら、形状や材質の異なるフィルターを試して、風味の違いを楽しんでみてください。
選ぶポイント
- 紙のフィルター
- 1〜2杯用
- ドリッパーに合うサイズ
1〜2杯用
ドリッパー
ドリッパーは、抽出速度やお湯の通り方に影響し、風味にも違いが出ます。ですがこちらも、最初の段階では深く考える必要はありません。まずはフィルターサイズに合うものを選びましょう。
選ぶポイント
- フィルターに合うサイズ
- なるべくフィルターと同じメーカー
- 材質(軽いと扱いやすい)
軽量ドリッパー
セット商品・ギフト
メーカーによってはドリッパー・サーバー・フィルターなどが一式になったスターターセットがあります。初めて購入する方は、このようなセットを選ぶと迷わず揃えられるので安心です。
おすすめ
豆の種類と選び方

コーヒー豆は産地・焙煎度・加工方法など種類がとても多いですが、最初は「中煎り × ブレンド × 豆のまま」を選びましょう。ここでは、それぞれの違いと選ぶポイントを整理します。
- 読み方は、中煎り=「ちゅういり」もしくは「なかいり」でも可

焙煎度
豆の煎り具合で味わいや香りが変わってきます。最初は中煎りがオススメ。
- 浅煎り:酸味しっかり/軽い/フルーティー
- 中煎り:酸味と苦味のバランス/飲みやすい
- 深煎り:苦味・コクが強い/重厚な味わい
産地
豆の産地によって、酸味・甘み・苦味・コクなどの風味は大きく異なります。その違いを組み合わせ、長所を引き立てつつ弱点を補っているのがブレンドの魅力。ブレンドを選ぶメリットは以下の通り。
- 味、香りのバランスが良く飲みやすい
- 飽きにくい
- 店舗ごとの個性が楽しめる
まずはバランスの良いブレンドから始め、慣れてきたら産地ごとの個性を飲み比べるのもオススメです。初心者は ブレンド → シングルオリジン の順で広げると楽しさが倍増します。
容量・形態
必ず豆の状態を購入しましょう。同じパッケージに見えても、挽いてある商品があります。挽かれたものだとミルの出番がなくなってしまいます。内容量は200g前後の商品が一般的です。この量であれば、1杯約10gとしておよそ20杯分楽しめます。
中煎りコーヒー豆
ハンドドリップの手順

初心者でも迷わず淹れられるよう、1杯分の基本レシピで進めていきます。これさえ覚えれば、どの豆でも安定して美味しく淹れられます。
1杯分=豆 10g・お湯 150g (比率 1:15)
- 調整ネジを締める(時計回り)
- 反時計回りに 1 回転(目安)
- 少量の豆を挽いて粒度を確認
- 粗すぎ・細かすぎる場合は微調整
ポイント
調整は毎回不要。
回転数をメモしておくと再現しやすい。
- 豆を 10g 計量する
- ミルに入れて中挽きに
- 豆がなくなったら止める(空挽きNG)
ポイント
粒の大小は多少バラついてOK。
大半が中挽きなら問題なし。
- フィルターの圧着面を折る(パッケージ参照)
- ドリッパーにセット
- 挽いた豆を入れ、平らにする
- ドリッパーをカップに乗せる
- スケールに載せ 0g にリセット
ポイント
フィルターは底面と側面を互い違いに折る。
カップは事前に温めておくと◎。
カップまたはサーバーは抽出液が入る容量のもので。
- 豆全体がしめる程度に少量のお湯を注ぐ
- 20〜30秒待つ
ポイント
ドリッパーから数滴落ちるのはOK。ダラダラ落ちる場合は注ぎすぎ。
ドリップポットがあると注ぐ量や場所をコントロールしやすい。
- 中央から「の」の字を描くように注ぐ
- 落ち切る前に次のお湯を注ぐ
- 150g に達したら完成
ポイント
注湯は蒸らし含め約3回が目安。ゆっくり注ぐ。
豆に水分が取られるので抽出量は120mL程度。
手順だけ見ればとてもシンプルですが、自分の手で淹れた一杯の味わいは、やはり特別です。
豆を挽くときの軽やかな音、湯を注いだ瞬間に立ちのぼる香り、ゆっくり抽出されていく様子を見守る静かな時間——。そのすべてが重なり、コーヒーの味わいをより深いものにしてくれます。
多少の手間はかかりますが、その過程こそが落ち着いた時間となり、日々の中に小さな癒しを与えてくれるはずです。
発展|味の変化を楽しむ
慣れてきたら、同じ豆でも挽き方・比率・注ぎ方で味が大きく変わることを試してみましょう。
- 同じ豆でも、味は変えられる?
-
挽き方・豆と湯の比率・抽出方法によって味が変化します。
- 挽き方を変えると?
-
荒く挽く:ライトな味わいに
細かく挽く:コク・苦味が引き立つ
- 抽出比率を変えると?
-
今回紹介したのは、豆とお湯が「 1:15 」
すっきり飲みたいなら「 1:16〜17 」
コクを出したいなら「 1:13〜14 」
など、割合を変えてみましょう。
- 抽出時間を変えると?
-
短くする:雑味控えめ、スッキリ
長くする:コク、苦味が引き立つ
カリタ式やメリタ式など、ドリッパーやフィルターの種類によっても様々な方式があります。
- お湯の温度を変えると?
-
抽出される成分が変わるので、味わいが大きく変化します。
中煎りの基準は92℃前後、高温はコク・苦味、低温は酸味が引き立ちます。
深煎りは88℃、浅煎りは94℃辺りを基準としてみて下さい。
- 道具・材料を変えると味に影響する?
-
豆:産地、焙煎度で大きく変化
フィルター:形状・材質によって変化
ドリッパー:材質・穴の数や溝によって変化
まとめ
ハンドドリップは工程自体はとてもシンプルですが、豆を挽く音、湯気に立ちのぼる香り、抽出を見守る時間など「淹れるプロセスそのもの」が心地よい体験になります。
必要な道具は最小限で十分。豆 10g・お湯 150g(1:15) の基準さえ押さえておけば、初心者でも安定した一杯を淹れられます。
慣れてきたら、焙煎度や産地を変えたり、比率・お湯の温度を調整したりと、無限に広がる“味のちがい”を探索できるのもハンドドリップの魅力です。
自宅で一人でゆっくり楽しむのもよし、淹れたコーヒーを誰かに振る舞うのもよし。
知識が増えるほど、カフェで飲む一杯の感じ方も変わり、「どんな淹れ方だろう?」「どういう豆を使っているんだろう?」と、コーヒーそのものへの興味も自然と深まっていきます。
深く構えず、まずは 最初の一杯をご自身の手で淹れてみること から始めてみてください。
続けるうちに、コーヒーの世界が広がります。
何から用意すればよいか迷う場合は、必須アイテム一覧から確認すると、スムーズに始められます。
🔻ハンドドリップに慣れてきたら、アイスコーヒーにも挑戦してみませんか?










