自宅で本格的なコーヒーを楽しみたいけれど、「難しそう」「道具が多そう」と感じていませんか?
そんな不安を解消してくれるのが、初心者でも失敗しにくい コールドブリュー(水出しコーヒー)。
お湯を使わず低温でじっくり抽出することで、苦味や雑味が抑えられ、すっきりとした味わいに仕上がります。
夜に仕込むだけで翌朝すぐ飲める手軽さや、作り置きができて毎日続けやすいのも大きな魅力。必要な道具も最小限なので、「これからコーヒーを趣味にしたい」という人の最初の一歩にも最適。
この記事では 必要な道具・初期費用・豆の選び方・抽出手順 を、初めてでも迷わないようにやさしく解説します。
| 難易度 | 評価 (★5=優れている/★1=ハードル高め) |
|---|---|
| はじめやすさ | |
| 初期費用 | |
| 続けやすさ |
コールドブリューとは?

コールドブリューは、お湯を使わず“水だけ”で長時間かけて抽出するアイスコーヒーのことです。低温抽出によって苦味成分が出にくく、すっきりと澄んだ味わいに仕上がります。
一般的な急冷式アイスコーヒー(熱湯で淹れて氷で冷やす)とは異なり、最初から水で抽出するため、まろやかでクリアな風味が生まれるのが特徴です。
また、抽出工程がシンプルで失敗しにくく、夜に仕込めば翌朝すぐ飲める手軽さも魅力です。忙しい日でも無理なく続けられるスタイルとして人気があります。
【メリット】
- 雑味が出にくく、まろやかな味になる
- 温度管理が不要で失敗しにくい
- 夜に仕込めば翌朝すぐ飲める
- 作り置きができ、2〜3日美味しさが続く
【デメリット】
- 抽出に時間がかかる
- 豆の使用量がやや多い
- 深いコクや強い香りは出にくい
しっかりしたコクや香りを求める場合は、同じアイスでも“急冷式のアイスコーヒー”のほうが向いています。
- 朝にコーヒーを淹れる時間がない
- 作り置きで気軽に飲みたい
- 苦味が強いコーヒーが苦手
- 抽出をゆっくり楽しみたい
- 簡単な道具で気軽に始めたい
趣味としてコーヒーを始めたいが手間は最小限にしたいという方に、相性が良い抽出法です。
必要な道具と初期費用

コールドブリューは、他の淹れ方と比較して少ない道具で始められます。
まずは必須アイテムから見ていきましょう。
必須アイテムと初期費用
まずは、この2つがあれば十分に始められます。
必要最低限の道具だけなので、初期費用も比較的安く、気軽にコールドブリューを試せるのが魅力です。
コールドブリュー用ボトルは、ストレーナー(フィルター)付きであればメーカーを問わず使えます。デザインや容量など、お好みに合わせて選べばOKです。
コーヒー豆は今回 “挽き済み” のものを紹介していますが、ミルを持っている方はホール(豆のまま)を選ぶと、より香り高く仕上がります。
こだわるなら取り入れたいアイテム
コーヒーミル
コーヒー豆は、挽いた瞬間から酸化が進んで香りがどんどん失われていきます。そのため、美味しさを最大限引き出すなら、豆はホールで購入し抽出の直前に挽くのがもっとも効果的です。
ただし、コールドブリューは一度に 50g 以上挽くことが多いため、手動ミルだとかなり疲れます。作る機会が多い場合は、電動ミルの方が圧倒的に快適です。
・毎日作る/継続したい ⇨ 電動ミル推奨
・たまに作る/挽くのを楽しみたい ⇨ 手動でもOK
挽き目の目安は 中細挽き〜中挽き(グラニュー糖ほど)。
細かすぎると雑味や渋みが強く出るため、最初はやや粗めで始めて、味を見ながら調整すると失敗がありません。
豆の選び方
コールドブリューは、使う豆によって味わいが大きく変わります。専門的な知識がなくても、いくつかのポイントを押さえるだけで、自分好みの一杯に近づけることができます。
焙煎度(ロースト)

基本的にはどの焙煎度でも作れるため、好みで選んで構いません。
- 浅煎り(ライト〜ミディアム)
-
酸味とフルーティな香りが特徴で、軽やかで透明感のある味わいに仕上がります。すっきりとした飲み口を求める際に適した焙煎度です。
- 中煎り(ハイ〜シティ)
-
甘味・酸味・苦味のバランスに優れ、幅広い好みに対応しやすい焙煎度です。安定した味わいが得られるため、まず試す焙煎度として非常に扱いやすい選択です。
- 深煎り(フレンチ〜イタリアン)
-
コクと苦味がしっかりと出る焙煎度で、力強い風味と深い余韻が特徴です。濃厚な味わいに仕上げたい場合に適した焙煎度です。
挽き目
コールドブリューの挽き目は、基本的に中細挽き〜中挽きです。
細かすぎると粉がストレーナーを抜けやすく、濁りやえぐ味の原因になります。逆に粗すぎると味が薄くなるため、中細引き〜中挽きがもっとも安定します。
- 中細挽き(グラニュー糖くらい)
⇨ 成分が出やすく、やや濃いめのしっかりした味に。 - 中挽き(ザラメくらい)
⇨ すっきりと軽い飲み口に仕上がる。
豆の鮮度
どの抽出方法にも共通しますが、豆の鮮度は味わいに大きく影響します。
可能であれば、焙煎から2週間以内のものを選ぶと風味がしっかり感じられます。
長期間保存したい場合は冷凍保存がおすすめです。ただし、冷凍していても2ヶ月程度を目安に使い切ると、品質を損なわずに楽しめます。
抽出時間の目安
コールドブリューの抽出時間は、焙煎度によって変わります。浅煎りほど成分が出にくく、深煎りほど短時間で味が出ます。
- 浅煎り:12〜14時間
⇨ 酸味がしっかり出るため、短すぎると薄くなりがち。少し長めの抽出が安定。 - 中煎り:10〜12時間
⇨ バランス重視。最も扱いやすく、多くのボトルがこの範囲で仕上がる。 - 深煎り:8〜10時間
⇨ 苦味・コクが出やすいので長く漬けすぎないのがポイント。
長時間の抽出はNG。20時間以上漬けると、以下の影響が出てきます。
- 雑味(渋み・えぐみ)が増える
- 油分が酸化し、風味が落ちる
浅煎りでも最大16〜18時間程度までに収めるのが安全です。
作り方
今回はハリオ「MCPN-7-B」を例に説明します。
使用する器具によって豆と水の推奨量が異なるため、基本はそれぞれの説明書に従ってください。
- 挽き目は中細挽き〜中挽き。
- コーヒー豆 50g をストレーナーに入れます。
- 水道水の場合は一度沸かして冷ました水、またはミネラルウォーターを使います。
- 約 650mL の水を、豆全体に行き渡るようゆっくり注ぎます。
- 注いだら軽くかき混ぜ、全ての豆がしっかり水に浸る状態にします。
- 今回紹介しているのは“浸漬式”ですが、別の方式として “透過式” の抽出方法もあります。
- 冷蔵庫に入れて抽出します。
- 抽出時間は 豆の焙煎度によって調整。
- 時間になったらストレーナーを取り出し完成。
- 抽出後は冷蔵保存し、できるだけ早めに飲み切るのがおすすめです。
- 出来上がり量の目安は約600mL。
Q&A
- 豆と水の割合は?
-
豆と水の比率は 1:10〜13 が目安です。
希釈して飲む前提なら、上記よりも濃いめに仕上げてもOK。
お好みに合わせて割合を調整してください。
- 味が薄い・濃い
-
- 薄い
⇨ 抽出時間を1〜2時間延ばす/豆と水の比率を濃いめに調整する/挽き目をやや細かくする - 濃い
⇨ 水で好みの濃さに薄めて調整する
- 薄い
- えぐみが出てしまう
-
挽き目が細かすぎる可能性があります。少し粗めに調整してみてください。
- 常温でもつくれる?
-
常温での抽出は衛生面からおすすめできません。
雑菌が繁殖しやすく、風味が落ちたり腐敗の原因になることがあります。
必ず冷蔵庫で抽出しましょう。
- 保存期間は?
-
冷蔵庫で保存で、2〜3日以内に飲み切るようにしましょう。
- 専用の道具を使わなくてもいい?
-
豆をフィルターパックに入れて抽出することもできます。専用のポットを購入する前でも、自宅にある道具を使って手軽に試せます。
アレンジしてもっと楽しむ
コールドブリューは、そのまま飲んでも十分に美味しい方法ですが、ひと工夫を加えることで味わいの幅が一気に広がります。
自分好みのマイレシピを見つけていく楽しさも、コールドブリューの魅力です。
■ ミルク割り
- 割合の目安
コーヒー:ミルク 1:1 〜 1:2
濃い目に抽出したコールドブリューを、ココナツミルクやオーツミルクで割ると、マイルドで風味豊かなドリンクなります。特に深煎りの豆との相性が良く、満足度の高い一杯に仕上がります。
コールドブリューソーダ
- 割合の目安
コーヒー:炭酸水(トニック) 1:1
コーヒーを炭酸水またはトニックウォーターで割ると、軽やかで爽やかな一杯に仕上がります。お好みでガムシロップやレモンを少し加えると、味のバランスがより整います。
■ コーヒーフロート
デザート感覚で楽しめる定番アレンジ。
コーヒーを注いでアイスを乗せるだけの手軽さ。暑い日や、ちょっと贅沢したいときにもぴったりです。深煎りコーヒーを使うと、バニラアイスの甘さがより引き立ちます。
まとめ
コールドブリューは、特別な技術や複雑な工程がいらず、誰でも気軽に楽しめる抽出方法です。
お湯を使わないことで雑味が抑えられ、前日に仕込んでおくだけで翌朝すぐに飲める便利さも魅力のひとつ。作り置きにも向いているため、忙しい毎日の中でも“無理なく続けられるコーヒー習慣”として取り入れやすいスタイルです。
必要な道具が少なく、初期費用も控えめ。そのため、「これからコーヒーを趣味にしたい」と考えている方にとっては、最初の一歩として最適な選択肢と言えます。
複雑な工程がないからこそ、味の変化やアレンジを楽しみやすく、自分好みの一杯に近づけていく面白さも感じられるはずです。
まずは必須アイテムだけ揃えて、一度つくってみませんか?
ゆっくり時間をかけて抽出される一杯が、あなたの生活に小さな楽しみをもたらしてくれます。
🔻慣れてきたら他の淹れ方にも挑戦してみましょう。



