「アイスコーヒーを自分で淹れられたら、ちょっと楽しそうだな」
── そう思い始めた方にこそ、まず試していただきたいのが家庭でつくる急冷式アイスコーヒーです。
特別な技術は必要ありません。基本のポイントを押さえるだけで、自宅でも深い香りと心地よい冷たさを備えた一杯が、安定して作れるようになります。
アイスコーヒーには 急冷式(ハンドドリップ) と 水出し(コールドブリュー) の2つの方法がありますが、この記事では 手軽さ・再現性の高さ・すぐ飲める という理由から急冷式に絞って解説します。
趣味として最初の一歩を踏み出す方に、もっとも適した方法です。
必要な道具、初期費用、豆の選び方、そして失敗しない抽出のコツまでまとめてご紹介します。
今日から無理なく始められる内容ですので、毎日のコーヒー時間が、ささやかな“楽しみ”として根づいていくきっかけになります。
| 難易度 | 評価 (★5=優れている/★1=ハードル高め) |
|---|---|
| はじめやすさ | |
| 初期費用 | |
| 続けやすさ |
🔻水出しに興味がある方は、こちらの記事をご覧ください。
アイスコーヒーの種類

冷たいコーヒーには、急冷式(ハンドドリップ)と 水出し(コールドブリュー)の2種類があります。
仕上がる味わいの方向性は大きく違います。
急冷式(ハンドドリップ)
- 抽出したコーヒーを氷で素早く冷やす
- 香りの立ち上がりが良く、キレのあるクリアな味わい
- ホットのドリップと工程が近く、手順が理解しやすい
水出し(コールドブリュー)
- 水で8〜14時間かけてじっくり抽出
- 甘みと丸みが出るまろやかな味わい
- 作り置き向きで、手間が少ない
ここからは、急冷式にフォーカスして解説していきます。
必要な道具と初期費用の目安

「何を買えばいいの?」という不安をなくすために、最小限の道具にまとめています。これだけ揃えば十分です。
今回は1杯ずつ淹れるシーンを想定して道具を紹介しています。複数杯を作りたい場合は、容量の大きいモデルを選ぶだけで対応できます。
必須アイテム
すでにドリップ環境が整っている方は、追加費用なしでそのままアイスコーヒー作りを始められます。
これから道具を揃える場合は、ドリッパー・サーバーなどが一式になったセット商品が便利です。表の金額は定価ベースのため、ネットではより安く購入できるケースもあります。
豆は挽いたものを紹介していますが、ミルを使用する方はホール豆を選んでください。価格は品種やメーカーにより幅があります。
氷は自宅で作ればほぼ無料です。購入する場合は、コンビニなどで数百円程度です。
あるといいもの
これらのアイテムを取り入れると、抽出の安定性が向上し、同じ味を再現しやすくなります。
特にミルは挽きたてならではの香りと風味が得られるため、可能であれば導入をおすすめします。電動を紹介していますが、手挽きが好みの方はそちらでも問題ありません。
🔻ミルの選び方など、道具選びで悩む方は、こちらの記事を参考にしてみてください。

豆の選び方

アイスコーヒーは、氷で必ず薄まる・低温で香りが立ちにくいという特性があります。
ホットと同じ基準で豆を選ぶと、どうしても風味が弱く感じやすくなります。そのため、急冷式では 豆量を増やす、深煎りを選ぶことで風味をしっかり残すことができます。
- 挽き目:中細挽き〜中挽き
- 焙煎度:深煎り
もちろん焙煎度や産地によって印象は大きく変わります。
軽さや果実感を楽しみたい方は、浅煎りを選んでも問題ありません。
種類選びに迷う方へ
何を変えば良いか迷う方は下記を参考にしてください。
- マンデリン(深煎り)…コクと苦味が安定し、氷を入れても味が崩れにくい
- ブラジル(中深〜深煎り)…クセが少なくバランスが良い
- エチオピア(浅煎り)…華やかな香りと果実感で爽やかに仕上がる
初めて買う場合は、深煎り1種+中深煎り1種の組み合わせが良いです。味の違いをはっきり比較でき、自分の好みを見つけやすくなります。
氷と水の選び方

急冷式アイスコーヒーは、抽出後に氷で一気に冷やす工程が味の決め手になります。そのため、どんな氷・どんな水を使うかが、仕上がりの安定性に直結します。
氷について
家庭用製氷機の氷で十分ですが、溶けやすいため薄まりやすいという弱点があります。
しっかり冷やしたい、味を薄めたくない場合は、市販のロックアイス が最適です。硬さがあり溶けにくいため、仕上がりが安定します。
水について
抽出に使う水は、水道水(軟水)でまったく問題ありません。日本の水道水はミネラル量が控えめでクセがなく、コーヒーの香りや風味が素直に引き出されます。まずは水道水を使うだけで、十分にバランスよく美味しいアイスコーヒーに仕上がります。
ミネラルウォーターを使う場合は、軟水寄りのものなら普段通りの風味が出やすい一方、硬水は成分が強く、雑味やえぐみが出やすいため避けた方が無難です。
アイスコーヒーの作り方

抽出方法は基本的にホットのハンドドリップと同じです。アイスの場合は、氷で必ず薄まるため豆の量を通常の1.5倍〜2倍程度多くするのが鉄則。最初からしっかり濃度を出しておくことで、氷が溶けても味が崩れません。
ホット:豆10g × お湯150ml
アイス:豆20g × お湯150ml → 氷で急冷
(粉を購入した場合は不要 STEP2へ)
- 豆を 20g計量する
- ミルで中挽きにする
- 豆がなくなった時点で停止する(空挽きは避ける)
- フィルターの圧着面を折る(パッケージ参照)
- ドリッパーにセット
- 挽いた豆を入れ、平らにする
- サーバーに氷を入れる
- ドリッパーをサーバーに乗せる
- スケールに載せ 0gにリセット
ポイント
氷は抽出液で溶け切らない程度に。
サーバーは抽出液が入る容量のもので。
- 豆全体がしめる程度に少量のお湯を注ぐ
- 20〜30秒待つ
ポイント
ドリッパーから数滴落ちるのはOK。ダラダラ落ちる場合は注ぎすぎ。
ドリップポットがあると注ぐ量や場所をコントロールしやすい。
- 中央から「の」の字を描くように注ぐ
- 落ち切る前に次のお湯を注ぐ
- 150gに達したら完成
ポイント
注湯は蒸らしを含めて3回に分けて行う。すべてゆっくり注ぎ、濃度を確保する。
豆が水分を吸うため、抽出量はおよそ120mL。
氷が溶けることで最終的な体積は増えるため、抽出時は濃いめで仕上げる。
Q&A
- 氷はどれくらい入れればいい?
-
氷の量はサーバーの 1/3 〜 1/2 が目安
- 味が苦すぎる
-
挽き目を少し粗くする/抽出温度を下げる/水で割る
- 味が薄すぎる
-
豆量を増やす/抽出スピードをゆっくりにする
- 浅煎りでもアイスにできる?
-
できます。酸味や果実感が出て、爽やかに仕上がります。
- 作り置きしたいけど、保存できる?
-
当日中に飲みきってください。
冷蔵保存すると酸化が早く進み、香りやキレがすぐに失われてしまいます。
作り置きしたい場合は、水出し(コールドブリュー)が適しています。 - カフェの味に近いのはどれ?
-
- アイスコーヒー(ブラック)
一般的には 急冷式(ハンドドリップ) が採用されることが多いです。
すっきりした苦味・キレの良さ・香りの立ち上がりが出しやすいため、カフェでも王道の抽出方法です。 - 水出しコーヒーの場合
メニューでは “コールドブリュー” または “水出し” と明記されていることがほとんどです。
長時間抽出によるまろやかさと甘みが特徴で、一般的なアイスコーヒーとは味の方向性が異なります。 - カフェラテなどのミルク系ドリンク
どちらの方式でもなく、エスプレッソ抽出が主流です。
濃縮されたエスプレッソがミルクとの相性がよく、味の輪郭が崩れないため、専門店ではほぼエスプレッソを使用します。
- アイスコーヒー(ブラック)
まとめ
アイスコーヒーは、特別な技術や高価な道具がなくても、自宅で想像以上に美味しく仕上げられます。
ポイントは 豆をしっかり濃く抽出し、氷で素早く冷やす ── ただそれだけです。これだけで一杯の輪郭が引き締まり、香りの抜けも抑えられます。
- キレのある爽快な仕上がりを求めるなら急冷式
- 落ち着いた甘みを楽しみたいならコールドブリュー
味の方向性は違っても、どちらも魅力的な方法です。
まずは急冷式で一杯淹れてみてください。今日から、自宅のコーヒーがプロの味に近づきます。






